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イタリアの広場

現代労働組合研究会は、日本国憲法を遵守し、次世代のための労働運動のルネッサンスをめざします。

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    ▽2014.10.11+10.25

    全労連結成から25周年という節目の大会での「神奈川労連の修正提案」の持つ意味

     表題のテーマでインターネット検索をしてみたら「連合通信社」発行の「隔日版連合通信」において小田川議長インタビューがあるが、読者ではないので一部分しか読めない。

     〔追記〕2014年08月28日 明治乳業争議を支援する会 のブログ掲載より 
     「 ●修正案は運動への激励

     ――神奈川労連が修正案を提出し、議長にも立候補した。いずれも取り下げられたが、どう受け止める?
     小田川 神奈川の主張ポイントは3つ。一つは安倍政権打倒の構え方。組織課題では地域に軸足を置いた拡大の推進、具体的には「地域合同労組」が提案された。そして、最賃・ナショナルミニマム運動の強化では、20県での最賃裁判が提起された。
     私は運動方針への補強・激励だと受け止める。ただ、組織課題で合同労組方式がいいかはすぐに答えが出るものではない。この問題ではさまざまな考え方がある。例えば製造業に関係する合同労組の全国組織をつくってはどうかという意見や、ユニオンなどを労組結成の窓口として位置付けるべきとの考え方、一人ぼっちの労働者をなくす受け皿であるべきという視点もある。9月に開く組織拡大交流集会でも論点を整理し議論を深めていきたい。
     最賃闘争が節目を迎えているのは事実。大衆運動としてどう発展させていくかについては、もっと議論が必要だ。裁判闘争の是非に関しては、さまざまな意見があり、11月の交流会でさらに議論を深めていく。

      ●組織運営に反省も

     ――神奈川の意見は地方組織の思いを代弁した側面もあるのでは?
     小田川 確かに日常的に地方の意見を聞き、受け止める仕組みは不十分だったかもしれない。全労連組織は単産と地方が対等とはいいながら、単産中心の運営になっているという思いがあるのも事実。もう少し工夫が必要だと思う。」


     下記のようにジャーナリストの青山悠さんが『労働総研クオータリ―』に書かれているものを抜粋してUPしておきたい。
     青山さんは「歴史的な大会で運動強化に一石を投じた論議。今後、全労連全体で産別、地方、職場を含め安倍倒閣運動や民間大企業経営の組織化戦略、職場・地域の運動強化などの実践が課題となる」と記している。

     「安倍政権打倒」へ全労連大会――「一点共闘」拡大へ、連合産別は来春闘の要求論議で苦慮、青山 悠(特集「ブラック企業」調査報告、「ブラック企業」調査プロジェクト編、『労働総研クオータリ―』(No.96、秋号)、労働運動総合研究所、2014年10月01日)

    ■「神奈川修正案」への参加者の
      見解と決着


     メディアはほとんど触れなかったが、大会代議員を含めて参加者の関心を集め、全労連の大会史に残る出来事として、神奈川労連の「修正提案」と全労連議長に水谷神奈川労連議長が立候補し、小田川議長候補(全労連事務局長)との役員選挙問題がある。一般紙の大会取材社は少なく、専門紙でも神奈川が事案を下ろして記事にしなかったとの声も聞く。かつて修正案は国鉄闘争の4党合意問題でもあったが、大会方針にかかわっては、全労連結成25周年で初めての出来事である。関係当事者を含め大会参加者10数人の声を含めて、この『労働戦線NOW』に史実として記録にとどめておきたい。
     神奈川労連の修正案を提案した水谷議長は、「結成25年の節目を迎え、全労連の組織と運動が『底をうって』維持・発展をとげる積極的な立場で提案」と表明した。修正案骨子は「安倍内閣打倒の国民的大運動の先頭に立ち、政治の大転換」をはじめ、「大企業との労使関係を重視した組織化戦略」「社会的賃上げ相場づくりの春闘再構築」「最低賃金訴訟や全国一律最低賃金法案の策定」、「JALなどの争議解決」などである。大会の約1カ月前にも「意見書」として組織拡大の具体的提起や労働現場からのたたかい、医療・年金・介護・憲法・労働法制での重要時期でのストなどを提起していた。
     ナショナルセンターの役員選挙では、旧総評で春闘路線などをめぐる1954、55年の対立選挙や連合で2005年の9条改憲をめぐる対立選挙などがあったが、今回は路線ではなく、運動の現状打開と労働運動前進のあり方にかかわるものである。全労連大会で初めての出来事をどう捉えるのか。代議員やOB、学識者などの見解を聞くと、3通りに分かれた。
     神奈川案を理解する見解は「運動の具体化であり、対立はしない)。全労連の運動強化の一石となる提案だ」(民間幹部)。「良いんじゃない。亀裂より全労連運動の強化につながるよ」(地方労連元幹部)、「全労連運動の問題では職場の強化、地域の強化など地方ブロックの会議でも論議されており、意味ある提案だ」(地方労連幹部)、「修正案というより補強意見であり、受け入れてよいのではないか」(全労連元幹部)、「運動の現状と組織運営の不満もあるようだが、運動前進の一石となる」(全労連元幹部)、「修正案は良いんではないか、緊張感のある大会となる」(学者)などである。
     一方、疑問視する見解では「全労連にやってくれというのは上まかせで、各地方、産別がみずから運動強化していくことではないか」(地方労連幹部)、「最低賃金裁判は地方労連の運動の主体に関わることであり、全労連方針とすることには反対だ」(地方労連幹部)、「横断的産別運動など含めて産別・地方の運動強化には不十分な内容だ」(民間産別幹部)などである。また「ノーコメント」(官公労)もあった。
     修正案の取り扱いについては大会2日目に小田川事務局長が「大会方針案と修正案は対立せず、補強意見に切り換えをお願いしたい」と、受け入れの対応を示唆した。
     大会討論では「神奈川案の受け入れを支持したい」(東京)、「神奈川案の組織拡大などの提案を重く受け止める」(群馬)、「神奈川提案に賛成できる内容は多数ある」(北海道)と表明した。千葉は「大同団結へむけ補強案としての受け入れを支持する。選挙にならぬよう神奈川は勇気ある撤回を」と表明した。
     大会最終日、運動方針の採決に先立って、神奈川労連の山田事務局長が発言を求め、「修正案を補強案とし、水谷議長立候補を取り下げる。水谷本人がノーサイドにしようと申し出ている」と表明し、大会方針は満場一致で採択された。
     大会では神奈川の取り下げを「英断」とし、新議長に選出された小田川議長が「神奈川の水谷議長に感謝し敬意を表する」述べ、大会終了後、会場で握手を交わすシーンもみられた。
     歴史的な大会で運動強化に一石を投じた論議。今後、全労連全体で産別、地方、職場を含め安倍倒閣運動や民間大企業経営の組織化戦略、職場・地域の運動強化などの実践が課題となる。


     さらに岡本一さん(かながわ総研理事)が「第27回全労連大会傍聴記」『NPOかながわ総研 研究と資料』(2014年8月1日、No.185)を書いているので、「2014年全労連大会における神奈川労連の修正案、発言等」もふくめてPDFで読めるようにした。
     ◆活用資料 2014年全労連大会における神奈川労連の修正案、発言等
     活用資料-1 全労連第27国定期大会における修正案提案と議長立候補についての総括
     活用資料-2 全労連第27回大会方針案に対する意見について
     活用資料-3 第1号議案 2014年~2015年度運動方針に対する「修正提案」
     活用資料-4 福田神奈川労連副譲長の発言
     活用資料-5 住谷副建長の発言メモ
     活用資料-6 山田事務局長の修正提案や議長立候補への対応表明

     岡本さんは、「議長は誰に投票するかで、まだ立候補演説もされていない、30数文字の決意しか判断材料がない1日目の夜に、かなりの組織で厳しい組織的締付け・拘束が行われたことも、産別の代議員として参加した神奈川労連の仲間から報告されている。組織の決定だと押しつけられたようだが、「組織」の決定は何時、どこで、誰によって行われたのか疑問が残る」と、過日の総評大会風の経過を書いている。
     また「全労連結成後25年もたっているのに、産別と地方で構成されているはずの全労連で、1人も地方からの議長選出はなく、女性議長も実現していない。民主的な組織であれば、基本的な方針は変わらなくとも、議長に誰がふさわしいか大いに議論し、対立選挙となってもなんらおかしくない。それで壊れるような団結ならもともと組織がおかしいのだ。組織に自信を持って大いに議論し、立候補もし演説するなり文書で意見を述べて、全労連の前進のための抱負を競い合えばいいと思う」と述べ、「今後の全労連運動が克服しなければならない点もいくつか見えた大会であった」と組織自身の民主制確立を訴えている。

     最後に「神奈川労連の議長立候補に付いては全労連内規で、60歳を過ぎている場合には専従にしないと定めているとして、一方的に非専従と記された」と明記しているが、なんと戦後労働運動の出発点における共産党系労働運動指導部の「現役幹部主義」が、今日まで貫かれているという驚きを表明しておきたい。

    (注)「産別会議は、産業別組織やナショナルセンターの「役員現役主義」をとった」と論文で明らかにしている浅見和彦「戦後日本の労働組合の組織化戦略と活動」(出所:法政大学大原社会問題研究所,前掲『証言 産別会議の誕生』 118, 222頁)に書かれている。
    「浅見和彦のページ」

    http://e-kyodo.sakura.ne.jp/roudou/asamikazuhiko.htm

    ▽2014.09.02  芹澤寿良のページ
    全労連大会の傍聴などからの若干の感想
    、芹澤 寿良、『金属労働研究』第130号、2014年8月号、金属労働研究所

    ▽2014.07.29  「五十嵐仁のページ 」
    全労連大会(2014年7月)を傍聴して実感した労働運動の新たな息吹、五十嵐仁の転成仁語、2014年7月29日



    ▽2014.08.21  それぞれの労働組合運動史・論 その3 を更新
    ◆企業横断的な運動と組織への挑戦
    トラック労働運動の到達点――全自運・運輸一般の闘いを通じて、國分武(元運輸一般・書記長)、産業別組合組織(単産)研究Ⅰ、労働総研労働組合研究部会ディスカッション・ペーパー、2013年10月、労働運動総合研究所

    ▽ 2014.08.15 今崎暁巳のページ を更新
    『めしと団結――たたかう関扇運輸労働者』(今崎暁巳著、労働旬報社、1970年6月刊)(PDF復刻版)
     第1章 アカ攻撃で大衆をひきはなせ
     第2章 警察・労務による首切りと逮捕の攻撃
     第3章 敵はアサノ独占だ!
     第4章 闘いの中でメシ食うんや
     第5章 闘えば敵は必ずひきさがる
     終 章 人々の中へ――30粒の種が阪神の大地に 

     ▽2014.07.30  それぞれの労働組合運動史・Part4を更新  
    民主的改革の労働組合運動を
    労働組合運動の民主的改革路線、中西五洲・永山利和、労働組合の民主的改革、1985年3月――黒川俊雄慶応義塾大学教授の還暦記念論集

    非正規・未組織労働者の組織化と産業別組合の強化(PDF版)
     ―すべての労働者のための労働組合へ―、労働総研クォータリ-No.76・77、小林 宏康

    全国金属―JMIUの産業別統一闘争  (PDF版)
     ―「日本型産業別組合の可能性」について―、小林宏康

    第2部 日本の産業別組合組織――事例研究(PDF版)
     第1章 トラック労働運動の到達点―全自運・運輸一般の闘いを通じて 国分 武
     第2章 国公労連の組織と運動について       熊谷金道
     第3章 日本医労連について            細野孝信
     第4章 港湾の産業別労働運動の概要        鈴木信平
     第5章 全国金属―JMIUの産業別統一闘争の到達点 小林宏康
         ―「日本型産業別組合の可能性」について-

    ▽2014.05.16  芹澤寿良のページ を更新
    坂田晋作さんと国鉄闘争―「大同団結」実現への献身的努力―、芹澤 寿良(高知短期大学名誉教授)、<『建交労雑誌版 理論集 特集・坂田晋作さんを偲ぶ』№60 2014年春号>掲載 (PDF版)

    ▽坂田晋作さんが生前に発表された論文
    国鉄闘争の立脚点と到達点の見方、坂田 晋作(建交労全国鉄道本部国鉄闘争推進委員会委員長)「建交労理論集」№50号(2011年9月30日発行)
    国鉄闘争の原点と現局面への対応――2011年7月、建交労全国鉄道本部国鉄闘争推進委員会、「建交労理論集」№50号(2011年9月30日発行)
    週刊金曜日 (2008.5.23発行NO.703号)― 国鉄闘争座談会(5/8) に関する資料

    ▽参考
    国鉄労働者1047 名解雇撤回闘争における学者・文化人の支援運動―複数主体の「大同団結」をめざす活動を中心に、高知短期大学名誉教授 芹澤 寿良、「建交労理論集」№54号(2012年9月30日発行)

    ▽13/08/13   それぞれの労働組合運動史・論 その3 を更新
    建設一般の1990年代の産業別一般労組づくり  (PDF版)
     「膨大な未組織労働者をどう戦列に加えるか」(特集・現代労働組合の基本的課題、酒井謙弥、労働運動総合研究所、季刊労働総研クォータリー、1996年秋号、No.24)



     

    ▽2014.05.13

     全労連と連合、全労協などとの共同行動を
     
     在野の労働組合運動研究者の芹澤寿良さん(高知短期大学名誉教授)がメッセージ・論文として、雑誌掲載などに発表した論攷を読んでほしい。 2013.07.18更新
     芹澤寿良のページ

    Ⅰ 日本の労働組合運動の強化と共同行動を

    世論に背を向け、民主党政権に追随 第12回大会から1年間の連合運動――エネルギー政策・原発問題をめぐる動向、芹澤寿良、金属労働研究所、金属労働研究、2012年10月号
    ふつうの組合員の声が聞こえてこない、原発推進は凍結したがどうするかは不透明なまま――連合第12回大会についての感想、芹澤寿良、金属労働研究所、金属労働研究、2011年10月、第113 号
    連合運動は「社会のバリケード」になれるか――基本姿勢の転換と大企業労組の組織、運動の改革を、芹澤寿良、政経研究、政治経済研究所、2011年、96号
    連合は、政策と運動の言説に責任を持ち、国民的共同実現の取り組みを、芹澤寿良、銀行労働研究会、金融労働調査時報、2010年11・12月、No.711
    最近の労働組合運動からの二、三の論点、芹澤寿良、銀行労働研究会、金融労働調査時報、2009年9月、No.699
    全国的労働組合間の共同行動実現のアッピール運動の展開を、芹澤寿良、銀行労働研究会、金融労働調査時報、2009年1月、No.692
    全国的な共同行動の実現で反転攻勢を、芹澤寿良、銀行労働研究会、金融労働調査時報、2007年1月、No.672
    もっと全国レベルの共同を、芹澤寿良、金属労働研究所、金属労働研究、2003年11月、第66号
    一刻も早く雇用問題での労働組合運動の共同行動の構築を、芹澤寿良、銀行労働研究会、金融労働調査時報、2003年2月、No.633
    ナショナルセンターの全国大会に見る労働組合運動のあり方をめぐる論議状況――連合(01年10月)と全労連(02年7月)両大会の傍聴から、芹澤寿良、銀行労働研究会、金融労働調査時報、2002年8月、No.628
    21世紀の幕開けと労働者の連帯・団結・共同のあり万一労働組合運動の新たな構築を期待して、芹澤寿良、銀行労働研究会、金融労働調査時報、2001年1月、No.612
    最近の労働組合運動について・雑感、芹澤寿良、銀行労働研究会、銀行労働調査時報、1998年6月、No.585
    労働組合運動の共同の発展を願って、芹澤寿良、全労連「交流と資料」、1994年4月、No.27
    Ⅱ 労働組合運動の基本的課題と政策
    Ⅲ 日本の労働組合をめぐる論点
    Ⅳ 韓国の労働事情と労働運動


     全労連を担う人びと(その2)  2012.09.13更新

    郵政産業労働者ユニオン九州地方本部結成大会の紹介

     「ある編集者のブログ」に以下の情報が寄せられた。ここに転載しておきます。

     「郵政産業労働者ユニオン九州地方本部結成大会」(福岡市・9月2日)、 郵政グループ4社の労働組合のうち、「郵政産業労働組合」と「郵政労働者ユニオン」は、上部ナショナルセンターの「全労連」と「全労協」の違いを超えて、組織統一の協議を重ねてきたが、漸く合意し去る7月1日、「郵政産業労働者ユニオン」(廣岡元穂委員長)として、新たに発足した。
     思想・信条の違いから長い間別々の道を歩んで来ただけに、話し合いは、困難を伴ったが、郵政民営化後、正社員の年間一時金カット、非正規労働者への勤務日数や勤務時間制限など労働諸条件改悪の攻撃は枚挙にいとまなく、「全逓」と「全郵政」が統一後、急速な御用化路線が進行する中での、危機感を共有し、幾つかの共闘を経て「真に労働者のための労働組合づくり」に起ちあがった。
     7月1日の統一後、各地方本部が結成されてきたが、9月2日(日)、福岡市「オクターブビル会議室」で「九州地方本部結成大会」が開かれ、全国的に組織統一が完了した。
     この新しい誕生に、九州各地で民主的労働運動を実践している仲間たちが、喜びのお祝いに駆けつけた。 組合員一人一人を大切にして、労働者解放を目指し、従事する事業の公共性を維持発展させ 、資本と政党から独立して、労働戦線の階級的統一をめざす。世界に誇る平和憲法の三原則を生かし発展させ、国際連帯を強める。などの結成宣言を高らかに発して、堂々のスタートを切った。(長崎市議会議員 井原東洋一)

     


     地域別労働組合の紹介

     全労連は、「産業別労組と地域別労組の複合体だ」といい(全労連幹部の発言)、現状においては前者で大型の組織は自治労連、国公労連、全教をのぞくと、医労連、生協労連があるぐらいなのではないか。

    その意味で後者の地域労組の展開が、今後の発展にかかわっている。
     その地域別組織は、ローカルな組織から京都総評・東京地評のように伝統のある組織も加わっている。
     今回はどんな活動を行っているのか、読み取っていきたい。

     情報発信では、「西播地域ユニオン ブログ」が一番だが、名称では「全労連・新宿一般労働組合」がユニークだ。

    後者は個人加盟の組織だろうが、新宿区労連と一緒に活動をすすめている。その現状は、『首都東京における地域労働組合運動―新宿区労連と全労連・新宿一般労組の組織,運動―』(ワーキング・ペーパーNo.36)として、発表されている。

     地域別ユニオンの一形態である、首都圏青年ユニオンは、非正規労働者や外国人労働者の解雇を抑止している。このユニオンも地域別一般労働組合(複合的地域別産業別ユニオンをめざすのか)の今後の活動について、諸外国の労働運動の経験・知恵を集め情報発信するシステムが求められているのではないか。

     産業別労組のゆくえ

     JMIUについて、戦後史における金属労働者のたたかいにふれてきたものとしては、現在の「派遣労働者や非正規労働者のたたかいを支える陣地」を拡大してほしいと願うばかりだ。

    地域社会における労働組合について大事なのは、民間では生協労連や福祉保育労だ。生協労組というユニオンが「生協という枠」(企業別労組の連合)をこえて、「フーズ=運輸一般・ユニオン」という地域別原理と職種別・産業別原理のユニオンに転換した時、なにが起こるのか。起こしてほしいと願ったのは、20数年前から市民生協の役割に期待して、編集活動に参加した時からの思いだ。

     今回も、71日にナショナルセンターの違いを乗り越えて統一した「郵政産業労働者ユニオン」について、長崎の地からメッセージを発信している機関紙「みらい」を紹介しておきたい。

     国公一般の「ブログ すくらむ」は、小説を書いている人が書いていただけに、読みごたえと問題関心が広く読ませた。
     今も「国における非正規職員の増大」(いや青年(女性)の生きる権利を破壊している現場)は、高齢者多数時代とはいえ、日本国憲法に実現をめざすワーカーズの貧困化を見のがすわけにはいかない。

     全労連は、なぜ民間大企業における「「戦略的陥没地帯」の政策を出せないのか。日本国憲法の実現をめざすという旗のみを掲げたらどうか。

    西播地域ユニオン ブログ

    http://seibanlocalunion.blog45.fc2.com/

    「西播地域ユニオンに関係した記事と全国で発生した労働に関する記事を引用しブログに綴り現在の労働を考える」として、世界のユニオンの運動から日本各地の労働情報を、中央紙だけでなく、河北新報他の地方紙からもピックアップしたブログ。どなたが編集しているのか、注目。

     ホームページの訴えをまず紹介したい。

    兵庫西播地域の
     労働者を応援する
     一人でも入れる労働組合です
     パート、アルバイト、派遣、期間社員、正社員、派遣切り、不当解雇、賃金未払、セクハラなど職場の問題を気軽に相談をしてください

    一緒に解決しましょう!
     ネットからの相談も受け付けています
     秘密厳守します
     670-0058
     姫路市車崎3丁目3-9(中播教育会館内)
     seiban_chiiki_union@yahoo.co.jpへ相談メールをお送りください。


     京都総評
     http://www.labor.or.jp/sohyo/

     昔の総評の名前で出ている労働組合団体。今は全国労働組合総連合全国労働組合連絡協議会に加盟している(これもめずらしいのではないか)。
     加盟組織は「27産業別労働組合」(総評と名乗っているだけあって、国労も加盟している)と「20地域別労働組合」。
     後者の組織はどうなっているか、注目したい。

    【結成年月日】1951年5月27日
    【構成する組織】
     <27産業別労働組合>

    化学一般京滋地方本部/全国一般京都地方本部/合同繊維労働組合/京都医療労働組合連合会/全損保大阪地協京都地区協/京都新聞労働組合/自交総連京都地方連合会/建交労京都府本部/全京都建築労働組合/京都府農協労連/全国福祉保育労京都地本/京都私学教職員組合連合/京都教職員組合/京都地区国立大学教職組連合/京都国家公務員労組共闘会議/京都自治労連/国鉄労働組合京滋地区本部/国労西日本福知山地区本部/自立労働組合連合/全印総連京都地方連合会/全日本年金者組合京都府本部/通信産業労働組合京都支部/全日本金属情報機器労組京滋地本/京都府農村労働組合/郵政産業労働組合京都府協議会/日本出版労連京都地域協議会/民放労連京都放送労働組合/

     <20地域別労働組合

    北上地区労/中京地区労/左京地区労/東山地区労/下京地区労/西・右京地区労/南地区労/山科地区労/伏見地区労/乙訓地労協/宇城久地区労/綴喜地労協/相楽地労協/亀岡地労協/船井地労協/福知山地労協/綾部地労協/舞鶴地労協/宮津地労協/丹労連/

    岡山県労働組合会議
     http://b.kenro.jp/

    名称が、「労働組合会議」と名乗っているが、平和運動に力を入れている姿が。TOPからうかがえる。この地方組織を知ったのは、前回紹介した組織拡大会議を見たからだ。

     NPT再検討会議 TPP イレブンアクション ジェンダー スケジュール ディーセントワーク ディーセントワーク宣伝 パート メーデー 人権 全労連 労働学校 労働組合 原発ゼロ 女性 学習の友 安保宣伝 安保条約破棄 定例宣伝 定例朝宣伝 平和 平和行進 憲法 憲法9条 憲法宣伝 教育 春闘 普天間基地 最低賃金 最賃 最賃宣伝 核兵器廃絶 核兵器廃絶署名 権利 沖縄 消費税 消費税増税 消費税増税反対 社会保障 米軍基地 脱原発 貧困 障害者自立支援法 青年 非正規

     全労連・全国一般労働組合・東京地方本部  http://www2s.biglobe.ne.jp/~HE05BZ/index.htm

    「職種や業種にかかわりなく、また、正社員でなくとも、契約・嘱託・パートなど、雇用形態にかかわりなく、誰でもが入れて、一緒に相談できる明るく経験豊かな仲間が大勢いる労働組合。それが全労連・全国一般労働組合です。お気軽にご相談ください。」

    全労連・全国一般労働組合・東京地方本部が発行している機関紙をPDFファイルで掲載しているが、20073月号までしか掲載されていない。なぜか?http://www2s.biglobe.ne.jp/~HE05BZ/kikanshi/top.htm

     
     JMIU

     http://www.jmiu.com/index.htm

    日本における歴史と伝統のある金属労働者の労働組合の現在。
     ホームページ上の。案内では「JMIUは2月27日で結成20周年を迎えます。20年間の歩みは、真の産業別労働組合への挑戦の歴史で、JMIUは、池貝における指名解雇撤回のたたかいなど、労働戦線の右翼再編に反対する「金属連絡会」の運動の上に、1989年2月27日、293組合・12000人が結集し、金属労働者のたたかいの砦として結成されました」と書いている。

     ------------------------------------------------------------------------

    JMIUとはこんな労働組合です」というページでは、
     
    産業別団交を軸に「合意協力型」労使関係を
     資本の横暴とのたたかいの連続の歴史
     すべての仲間の賃上げと非正規労働者の闘い
     「派遣切り」との闘いと組織建設の前進
     と紹介。その「非正規労働者の闘い」の文章を下記に掲げておく。

    JMIUは「すべての仲間の賃上げ」など、派遣・非正規労働者の要求をかかげて運動を強めてきました。ヨタの部品メーカー、徳島・光洋シーリングテクノでは、2004年、非正社員の仲間たちがJMIUに加入。全国で最初に「偽装請負」を告発、正社員化を求めてたたかい、直接雇用と正社員化をかちとりました。日亜化学の若者たちのたたかいは、「直接雇用」の約束破りとの、あらたなたたかいになっています。光洋シーリングテクノと日亜化学の仲間たちのたたかいは、「貧困なくせ」の世論と、労働者派遣法の抜本改正を求める全国的な運動を切り開きました。


     全労連・新宿一般労働組合・新宿区労働組合会議 

    http://shinjuku-union.org/


     「給料・残業代未払い、セクハラ・パワハラ etc... 働いてる職場でお悩みはありませんか?
     もしかしたらあなたのその職場は、法律に違反した働き方をあなたにさせているかもしれません。
     新宿一般労働組合は、誰でもひとりでも入れる新しい労働組合です。
     新宿一般労働組合は、あなたのためにある組合です。
     たったひとりの、あなたのために全力で問題解決に努めます。」

    新宿一般労働組合について
     新宿一般労働組合は、誰でもひとりでも入れる労働組合という新しい労働組合です。
     新宿一般は、新宿区内に住んでいる人、区内で働いている人であれば、だれでも入ることのできる労働組合です。これまでの労働組合と違い、正社員に限らず、パート・アルバイト・派遣などどんな雇用形態の人であっても、入ることのできる労働組合です。職場に労働組合がない人にとっては、様々な労働相談に対処できるたいへん心強い存在になると思います。

    現在、ネットカフェ難民とかワーキングプアとか言われているように貧困と格差が広がっています。その最大の要因が、企業が儲けをあげようと人件費を低く抑えることのできる派遣やパートといった非正規雇用労働者を政治の手助けを受けて大量に作り出してきたことにあります。

    新宿一般は、生活の苦しい労働者の処遇を改善させていくため、最低賃金の引き上げや正社員との格差を圧縮していく均等待遇制度の実現などに取り組んでいます。また、正社員についても、成果主義賃金が導入され長時間労働のあげくメンタルヘルスや過労死・過労自殺の問題が深刻になってきており、残業規制を求める運動にもとりくんでいます。

    名称がこれまでの地区労のイメージとは違っている。別のページでは、「組合員は現在、403名(201112月定期大会時)です。」と書かれているが、元沖電気争議団のメンバーが事務局長を担っているので期待したい。

     大胆にいえば、一般労組として個人加盟のユニオンをめざしているのであろうが、未来は企業別組合とは別の“正規労働者と非正規労働者の協同”の旗を立てるしかないのではないか。それも大企業の本陣に。

    「五十嵐仁の転成仁語」には、新宿労連・新宿一般調査プロジェクトチームに加わって行った聞き取り調査への感想がある(新宿労働組合総連合(新宿労連)『われらの進路-新宿区労連第21回大会議案書』に収録されています)。

     そこで注目すべき指摘は、「非正規労働者に対する働きかけの重要性である。この点で、強調されたのが「目線」の問題であった。つまり、どれだけ正規労働者が非正規労働者の置かれている状況や立場を理解したうえで働きかけているのかということであろう。両者の条件の違いをわきまえつつ、同時に、非正規と正規との「労労対立」にならないような対応が求められる。このような違いに対して非正規労働者は敏感に反応するが、得てして正規労働者側は鈍感だという。特に、この点では正規労働者側の配慮が必要であろう。」と書いている。

    http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2009-12-21

     東京地評
     http://www.chihyo.jp/index.html

     東京地評の機関紙(新聞)新聞「TOKYO働く仲間」の連載「シリーズ相談の炎」は、短い文章だが、いまの労働相談が、個別相談(個人レベル)に集中の姿がよく分かる。
     またけなげに生きる青年(女性)が生きる姿が浮かび上がってくる。
    「会社を説得した」という文書に感心した。

    http://www.chihyo.jp/html/a-soudan03.htm

     第64回 2009/02/15オルグの現場から 30

     労働組合の加入で解決と

     江東区労連には、年間80~90件ほどの労働相談が寄せられます。大会の前に労働相談の傾向などを分析します。まず内容、解雇や雇止め、退職強要に関するものが統計を取ってから一位を占めています。続いて多いのがいやがらせ・いじめ・セクハラなどの人間関係のトラブルによるもので、だいたいメンタルヘルスを患うか、病気寸前の状態というケースがほとんどです。続いてどう解決していくかという道すじです。私たち労働相談員は、必ず「解決の道すじ」をしめすことが必要だと思います。それが公的機関への紹介であろうと、労働組合への加入であろうと、単なる労働法の中身などの相談で終ろうと。

    ▼ここ数年で大きく様変わりしたのは、「労働組合に加入して解決したい」という選択をした人が増えていることです。相談の三分の一は組合に加入してきます。「現在、職場で問題はないが、万が一のために組合に入りたい」と加入する人もいますが、多くは、労働相談で加入するや、翌日にもその会社に団体交渉を申し入れることがほとんどです。

    ▼解雇事例はほとんどの場合、職場が少人数、人間関係が悪化、メンタルなど、「もう職場に戻りたくない」という人が圧倒的多数ですから、金銭解決が多く、話し合いが決裂すれば、労働相談情報センターのあっせんや労働審判での解決になります。一方、賃下げなどの労働条件の不利益変更事例では、解決しても職場に残ったり、粘り強く交渉を続けながら職場の中で仲間を広げている人もおり、江東区労連への労働相談を経て加入する個人加入の労働組合(建交労東部江東一般)もわずか数名で発足し、結成から五年たった今百名近い仲間が加入しています。                      (江東区労連 中村元)

     

    首都圏青年ユニオン
     http://www.seinen-u.org/

     「東京公務公共一般労働組合 青年一般支部」というのが正式名称のようだ。この組織をつくった母体が、東京の地方自治体の非正規労働者のユニオンだ。

     ● 東京公務公共一般労働組合
     http://www.yo.rim.or.jp/~kk-ippan/

     TOP画面は、文書だらけだが、以下の記事がいまを象徴している。

     首都圏青年ユニオンへようこそ!

    職場のトラブルで悩んでませんか? 将来に不安はありませんか?
     そして、フリーターにも権利があることを知っていますか?
     アルバイト・派遣・パートタイム・契約職・正社員・・・ どんな職業・働き方でも、
     誰でも一人でも入れる、若者のための労働組合、それが首都圏青年ユニオンです。

    この間の動き

    「すき家」を経営するゼンショーは団体交渉にただちに応じるべき
     中央労働委員会命令取り消し請求訴訟のゼンショー敗訴にあたっての首都圏青年ユニオンの声明→すき家で働くみなさんへ

    ・三菱ふそう派遣切り裁判

     08年12月に三菱ふそう川崎工場で働いていた派遣労働者に対する解雇撤回裁判。7月29日に東京地裁で和解が成立しました。

    SHOP99(株式会社九九プラス)での名ばかり管理職裁判で、東京地裁立川支部で勝利判決が出ました。SHOP99 名ばかり店長裁判

     ショップ99、名ばかり店長裁判完全勝利(判決日当日の映像) → YouTube映像

    ・派遣会社グッドウィルの「名ばかり管理職」残業代未払い裁判が東京地裁で和解しました →グッドウィル未払い残業代問題

    ・シッスルドッグスクール裁判が東京地裁で、洋麺屋五右衛門裁判が東京高裁で、それぞれ和解しました。→賃金・残業代未払いでの交渉


     国公一般

     http://www.kokko-net.org/kokkoippan/

    「国公一般は、国の機関や関連法人(独立行政法人や公益法人など)で働く仲間の労働組合です。職場に組合がなくても、常勤・非常勤、派遣・請負などどんな雇用形態の方でも、一人でもいつでも入れる労働組合です。  多くの組合員は、労働相談をきっかけに国公一般へ加入し、職場の悩みを解決しています。働きやすい職場を一緒につくりましょう」と呼びかけている

     本サイト内の「早川征一郎のページ」(法政大学名誉教授)に「国(政府)における非正規職員問題」がある。この10年間の「非正規職員の増大とその問題点」を指摘している。

    http://e-kyodo.sakura.ne.jp/hayakawa/index.htm

     さらに、「▼国公一般ブログ「すくらむ」★ほぼ毎日更新しています。」と紹介しているページがあり、その一覧は以下の通り。
      http://ameblo.jp/kokkoippan/

    · 

    郵政産業労働者ユニオン

     201271日、郵政産業労働組合(全労連加盟)と郵政労働者ユニオン(全労協)がナショナルセンターの違いを乗り越えて統一した。
     以下はインターネットに紹介された声を読んだ。

    “組合の方針は「非正規労働者の均等待遇と正社員化」が大きな柱です。

     他の代議員の発言。
     「自分は地域間運送便の運転手だが、数年前に基本給下げられ代わりに手当が付いた。今、手当が削減され年収は大幅ダウン」。「郵便局の皆さんもそうなる可能性高いと思うんで充分討議して下さい」。

     また別の代議員。
    「郵便事業の赤字解消の為、運送費削減が声高に叫ばれている。その皺寄せが運送労働者に来ている。過密労働と低賃金」「運送労働者も見据えた運動を」。

     統一大会には全労連、全労協の議長が参加。
     その後のレセプションでは両議長ほか、共産、社民、新社会各党が来賓参加。
    さながら民主的左派の大結集でした。”

    遠く、長崎の地で歴史を刻んできた組織の機関誌にその経過と意義が載っている。それは「郵政産業労働者ユニオン 全労協・郵政労働者ユニオン九州地方本部 機関紙・「みらい」だ。PDFなのでその紙面をPDForsell2で切り取り、結合して、Ipadoやスマフォでも読めるようにした。

     7月1日に郵政産業労働者ユニオン(郵政産業ユニオン)が誕生しました。

     http://www.yuseiunionkyusyu.jp/kikanshi.html

    全労連を担う人びと(その1)  2012.07.08

    全労連加盟の郵産労と全労協加盟の郵政ユニオンの組織統一

    全労連加盟の郵産労と全労協加盟の郵政ユニオンの組織統一が実現した、と「連合通信」は次のようにニュースを発信している。

    「郵政産業ユニオン」が発足/職場での求心力強化めざす/全労連と全労協両方に加盟。12年前から共同の取り組みを 積み重ねて信頼関係を築き、上部団体の違いを乗り越えて統一を果たした。(2012年7月1日、3日)

    http://www.rengo-news.co.jp/

    本サイトでも紹介している“ブログ シジフォス”で、「全労連加盟の郵産労と全労協加盟の郵政ユニオンの組織統一は、ある意味で日本の労働戦線に大きな一石を投じることになる」と報じている。

    http://53317837.at.webry.info/201207/article_4.html

    シジフォス氏、その意義として、三点あげている。
     その意義の第一は、JP会社への圧力であり、「JP労組が、もし会社の言いなりのまま、抵抗闘争を行わないのであれば、新たなユニオンへの期待と支援・加入は加速する」

    第二は、「郵政職場は、非正規労働者の「犠牲」の上に成り立っていることに対するインパクトだ。新たなユニオンは数こそ約2500名程度しかいないが、その半数は非正規労働者が占めており、その期待は大きい」

    「第三に、潮流を超えた新たな流れが「全国化」することだ。現在の労働社会における閉塞状況はもはや猶予ができず、対立・党略よりも「共闘」が求められている」

    この統一組織が、どのように発展していくか、また「過日の“権利の全逓”」のリニューアル・ユニオンになるのか、注目をしたい。

     全労連について

     http://www.zenroren.gr.jp/jp/

    私が、労働関係編集者生活からはなれた時期(1989年11月)に、この組織は生まれている。

    全労連は、労働者の団結を最大限に保障する「資本からの独立」「政党からの独立」「共通の要求での行動の統一」という3つの原則を堅持し、働くものの生活向上と権利の確立、国民春闘再構築、平和と民主主義をめざすと結成時にアピールした。

    役員構成などを見てみると、大阪の衛都連関係者・京都の教育・公務員関係労組出身者と国家公務員労組・全教、民間では建交労(運輸一般、全日自労・建設一般、全動労など)、金属、印刷、タクシー、医療・福祉関係などのメンバーが中心だ。

    マスコミ関係の民放労連・新聞労連・出版労連・音楽家ユニオンなどは未加盟。 

    研究機関としては、労働運動総合研究所が並行してあり、雑誌などもあるが、インターネット上に発信している研究者・幹部の声は、数少ない。
     特に総評時代の統一労組懇づくりの経過については、文書で発表している組合幹部の話はないのではないか。法政大学大原社会問題研究所に当時の事務局長だった春山明さんの文書が所蔵(フォロー)してあると、検索では出てくるが、その分析はない。

    本格的に、歴史的背景についても、活用が求められている。

    http://www.yuiyuidori.net/soken/


    全労連の現勢と組織拡大戦略

    いま全労連について、その組織戦略・行動について、二つの文書が、だれでもが読める状態なので紹介したい。

    一つは、全労連組織局長斎藤寛生さんの「地域を結節点に、産業と業種に責任を負う労働組合へ――「組織紘大強化中期計画案」を深めるために」(全労連中国ブロック労働相談員養成講座、2012年5月19日(土))

    http://b.kenro.jp/wp-content/uploads/2012/05/593450f4c62851dea64b2cc3a7d3cf3d.pdf

    この文書からその組織動向を見てみる。

    1 全労連は、発足時(1990年)の128万3194人から最高現勢は1998年の153万769人になり、2006年には126万人に後退。さらに2011年に115万人へと後退した。
     2006年以降、既存の組織(生協労連、金融労連、日本医労連、福祉保育労、年金者組合など)で、毎年6万人から8万人の組織拡大を実現した(各単産から組織拡大オルグを12人配置)。 
     地域組織に参加している友好・中立労組との「共同」をすすめる。

    2 非正規労働者の組織化に着手。

    非正規ユニオンでは「年越し派遣村」づくりで、マスコミなどにたびたび登場する首都圏ユニオンが著名だが、全労連は、2008年に「非正規雇用労働者全国センター」を結成。全体で「15%」をこえている。

    3 地方組織と単産との連携、戦略的・計画的な拡大、組織基盤づくり、全労連共済の発足による未組織労働者へのアピールなどを強めた。現在、「150万全労連」をめざしている。
     今後の方向については、上記文書を読んでほしい。
     

    産業別労組づくりのビジョンを提示

    二つ目は、寺間誠治さん(全労連組織局長 寺間誠治・労働者教育協会副会長)の「この社会を変える展望新しい労働運動とナショナルセンターの役割」(第117 期基礎教室第11 回(最終)講義 <社会を変える力はどこにあるのか> 2010 7 3 日)。この当時の肩書で、現在は政策総合局長http://homepage3.nifty.com/roudou-gakkou/117-11terama_resume_data07.03.pdf

     冒頭に掲げられている3つの柱は、以下の通り。

     ① 労働組合こそ使用者と対等に渡り合えるツール。社会的連帯がユニオン運動を通じて実現している
     ② ナショナルセンターとは何か。 一国の労働者の労働条件の水準は、その力量に規定される
     ③ 情勢は激変。未来を拓くために、個人を尊重した労働運動の再構築へ
     

    講義録のレジュメだが、全労連がどのような分野に力を注いでいるかが分かる。

    第一に、「社会的正義の実現~非正規に向かうユニオン」と、「新しいユニオン運動前進の背景」を示している。
     ①製造大企業における違法派遣の急増と法的・社会的責任放棄に対する批判
     ②労働力流動化と賃金・労働条件決定システムの変化 
     ③企業別組合の閉鎖性への批判と社会的労働運動への支持と共感
     ④ローカルユニオンの自主性・多様性の魅力
     ⑤青年労働者の意識変化

    その次に、寺間さんが掲げている柱が大事だ。

    ②組織的空白地帯
     1.製造大企業構内の広大な非正規労働者(戦略的陥没地帯)
     2.流通・サービス産業(小売10.2、サービス4.6%)
     3.中小零細企業(99人以下1.1%)
     

    「戦略的陥没地帯」と書かれている、大企業製造業における「労働オルグ」の組織配置が、今後の全労連のゆくえ・未来の戦略を決定するのではないか。
     アメリカ映画ではないが、工場・大規模店舗の外から「女性オルグが組織化を行う」ルポルタージュが書かれる時代だ。

    そのために、「合同労組の研究」を示しながら、以下のような「産別組織の紹介と改革方向」を示している。

    ▼日本型産別組合~産別交渉権を持つ単産
     全国港湾、海員組合、私鉄総連、プロ野球選手会、建交労(ダンプ、生コン)、UIゼンセン(NCCU)

    産別組織の改革方向
     1.産別労使関係機構の確立=産別団交と産別協約締結にむけた戦略構想
     2.産別ユニオン(個人加盟一般般労組)の確立=企業横断的機能の強化

     3.ローカルユニオンと産別ユニオンの地域的連帯強化
     →組織改革への模索:映演労連、生協労連、金融労連、全建総連…。

    ▼組織改革の戦略的方向、必要な検討課題
      1.理念:未組織の組織化は日本労働運動の改革
      2.運動論:地域運動と教育学習を通じた企業別組合の内部改革への努力
      3.組織論:地域ユニオンの構築と産別ユニオンによる企業別組合改革

    ▼おわりに~新自由主義改革ではなく新たな福祉国家へ
      新たな福祉国家へ~全労連「雇用の安定を求める研究会」発足
      憲法13条 「団結強制」ではなく、個人を尊重した運動の再構築へ
      連帯の絆に包まれた個人は、他人への攻撃(不正)を自己のものとして行動
     『若者よ、マルクスを読もう』(内田樹「共産党宣言」より)

    全労連における「産別組織」づくりでは、旧運輸一般、建設一般全日自労などの「産業別・地域別一般組織づくりの経験(失敗も含めて)」を再考してほしい。その周りに、金融や電機、食品、印刷、航空などの新しい「一般労組」づくりと全労協・連合の単組と「共同」する度量が欲しい。
     首都圏ユニオンを生みだした、公共一般労組などの経験も、身近にあるのではないだろうか。

    【参考】寺間誠治さん「労働運動と社会的連帯のチカラ」(東京労働学校115 期基礎教室 第7 回講義(2009/4/25)レジュメ)

    http://homepage3.nifty.com/roudou-gakkou/115-terama-resume4.25.pdf

     

     


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『現代労働問題分析』 石井まこと・兵頭淳史・鬼丸朋子 編著
2012.05.08 追加)
『新自由主義批判の再構築』(赤堀正成・岩佐卓也 編著
 2012.07.04 new
▽労働組合・ユニオンの現場から
連合が分かるリスト《1》 
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◆ふたつの研究組織――連合総研と(社)教育文化協会
連合が分かるリスト《2》
連合が分かるリスト《3》

▽労働組合・ユニオン
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首都圏青年ユニオン
首都圏青年ユニオンを支える会
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国公一般(
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ユニオンの動向・一端
コミュニティ・ユニオン全国交流集会in阿蘇に320人


ユニオン・ショップ制を超える
 郵政労働者ユニオンのめざすもの――ユニオン長崎・中島義雄
 ユニオン・ショップと労働組合――全国一般東京東部労組
▽国際労働事情・労働運動
韓国版 
連合群馬が見た韓国労働事情
韓国非正規労働者の状態と課題(静岡県労働研究所)


私たちの労働組合運動史論・あれこれ
連合よ (要宏輝)
社会的労働運動論(脇田憲一)
高野実論(樋口篤三)
労働組合選択の自由(戸塚章介)
ユニオンショップ制(牛丸修)


中小企業労働組合運動・地域共闘・管理職ユニオン・コミュニティユニオン

『地域ユニオン・コラボレーション論 オルグから見た地域共闘とは』(小野寺忠昭著)
『転形期の日本労働運動――ネオ階級社会と勤勉革命』(東京管理職ユニオン)
『合同労組運動の検証──その歴史と論理』(松井保彦著)の書評と紹介
 高須裕彦
 呉学殊
 早川征一郎
 

▽全労連を担う人たち
  (2012.07.07 new)
全労連を担う人たち(2)(2012.07.23 new)


編集人:飯島信吾
ブログ:ある編集者のブログ


UP  2012年07月07日
更新  2012年08月28日
更新  2012年09月13日
更新  2012年11月09日
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